「新たな舞台に立って!」

坪井 孝男
常勤社外取締役

当社は8月30日の株主総会を経て、これまでの監査役(会)設置会社から、監査等委員会設置会社に移行しました。これまでの監査役に替わって、私達3名が監査等委員である取締役に選任され、監査等委員会という組織が活動を開始しました。
監査等委員会は、取締役会と共に会社の監督機能を担い、かつ、取締役の職務の執行を監査する独立の機関として、その職務を適正に執行することにより、良質な企業統治体制を確立する責務を負っているとされています。言い換えると、監査等委員会は取締役の職務の執行の監督(評価)と監査の両方を行い、さらに取締役として会社の意思決定にも関与する立場といえますので、非常に身の引き締まる思いで就任した次第です。
今回は内部統制システム、とりわけコンプライアンスについてお伝えしようと思います。監査等委員会は会社の内部統制システムがどのように整備されているかを監視検証することが重要な責務だからです。内部統制システムとは、会社法ですべての会社が事業目的に沿って、保有する経営資源を有効に活用し、会社を健全かつ持続的に発展させるために必要なものとして、取締役等が整備すべき仕組みと定められており、中でもコンプライアンス(法令遵守)体制が最も重要なものとされています。
某大手上場企業のグループガバナンスポリシーでは、「コンプライアンスはすべてのビジネスの前提となるものです。当グループのコンプライアンスの基本原則は、『正義と利益のどちらかを取らねばならない状況に遭遇したら、迷わず正義を貫け』であります。」と謳っています。昨今、品質管理上の不正が長年放置され大問題となった事例が相次ぎ発覚しました。長年にわたって積み上げてきた顧客の信頼もあっという間に崩れ去ってしまいます。怖いことです。肝に銘じなければなりません。
中期経営計画では意欲的な成長戦略の推進を掲げています。これらの施策を実現するため、取締役を中心とする経営陣は、適切なリスクテイクをベースとした積極・果断な意思決定プロセス(攻めのガバナンス)を構築していきます。その大前提として守りのガバナンスである内部統制システムの整備、とりわけコンプライアンス体制の強化が必要不可欠ということを忘れないでください。繰り返しになりますが、「利益と正義の選択においては正義を貫け!」です。皆さんの益々のご活躍を期待しています。

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